セミナー・学内講義

 2025

◯ 今後のセミナー

日時:2025年6月16日(月)15:00から
講演者:理化学研究所 数理創造研究センター (iTHEMS) 竹田 大地 氏
場所:中央大学理工学部 1号館2階 1143教室

タイトル:「Lindblad力学のホログラフィック双対」
概要:本講演では、AdS/CFT対応において、Lindblad方程式に従うCFTの相関関数を古典重力理論から計算する手法を提案する。まずLindblad方程式の時間発展に関する生成汎関数を経路積分で表現し、これにAdS/CFTの辞書を当てはめることで一般的な処方箋を確立する。さらに、実際に機能することを確認すべく、3次元の純AdS上のプローブスカラー場に本手法を適用し、2次元CFTのLindblad力学における2点相関関数が再現されることをみる。

◯今後の学内講義

日時:2025年9月9日(火)〜 2025年9月12日(金)
講演者:京都大学理学研究科 杉本 茂樹 氏
場所:中央大学理工学部 5号館1階 5137教室
時間割:

  9月9日(火)13:20 開始 午後2コマ
  9月10日(水)10時開始 午前1コマ、午後2コマ
  9月11日(木)10時開始 午前1コマ、午後2コマ
  9月12日(金)10時開始 午前1コマ、午後1コマ
  『物理学科談話会』
  9月12日(金)16:00から 5137教室
 (12日の午後2コマ目は「物理学科談話会」を兼ねたセミナー形式となります)

※具体的な授業コマの区切り、休憩時間の設定は進行状況に応じて臨機応変に調整します。

内容:「超弦理論の基礎とホログラフィック双対」
概要:弦理論はあらゆる素粒子とその相互作用を統一する究極の統一理論の候補と考えられている理論であるが、1990年代後半に起こった弦理論の第二革命以来、場の量子論との深淵な関係が様々な形で見出され、注目されている。例えば、弦理論は、QCDに代表されるような強結合の場の量子論に対する思いがけない解析法を提供するなど、場の量子論の性質を理解する上で大変有用な枠組みを与える。また、ある状況において弦理論と場の量子論が理論的に等価になることが予想されており、量子重力理論を場の量子論を用いて定式化する試みもなされている。本講義の主な目的は、そうした発展を理解する上で必要な基礎知識を学び、場の量子論と弦理論の双方への理解を深めることにある。まず、弦の量子化の手続きの概要を紹介し、タイプII超弦理論の低エネルギーにどのような粒子が現れるのかを説明する。特に開弦の自由度を考えることにより、Dブレインと呼ばれる物体の上にゲージ理論が実現されることを見る。そして、いろいろな種類のDブレインを組み合わせることによって、様々なゲージ理論を弦理論の枠内に実現する方法を解説する。そのような系に対して、弦理論において知られているS双対性やホログラフィック双対を適用することによって、場の量子論に関する新たな知見が得られるということをいくつかの具体例を用いながら議論する。

◯ これまでのセミナー

日時:2025年5月19日(月)15:00から
講演者:東京大学大学院理学系研究科 増木 貫太 氏
場所:中央大学理工学部 1号館2階 1143教室

タイトル:「量子散逸系における量子相転移の非摂動くりこみ群解析」
概要:環境自由度と相互作用する量子系(量子散逸系)の理解は量子多体物理における重要な問題であり、過去約半世紀にわたって多くの量子散逸現象が明らかにされてきた。中でも、散逸強度が系の基底状態に引き起こす相転移(量子散逸相転移)は基本的な研究対象であり、様々な問題設定のもとでその性質が調べられてきた。特に、抵抗に繋がれたジョセフソン接合系における量子散逸相転移の問題は長年議論されてきた基礎的課題である。抵抗に繋がれたジョセフソン接合系において、抵抗は散逸をもたらすボソン環境自由度として働く。これまでの研究では、抵抗の大きさRを大きくしていくとき、量子抵抗R=h/4eにおいてジョセフソン接合が超伝導状態から絶縁体状態に量子相転移すると考えられてきた。多くの理論的研究がこの量子散逸相転移の存在を予言する一方で、この転移を裏付ける明確な実験的証拠は検証中の段階にある。例えば近年になって、従来予言されていたパラメータ領域では転移が起きないとする実験結果が報告されるなど、量子散逸相転移の有無に関する包括的な理解は未だなされてないといえる。本セミナーでは、抵抗に繋がれたジョセフソン接合系の数値的・解析的な非摂動くりこみ群による解析について紹介する。これらの非摂動くりこみ群解析により、従来の摂動論的なくりこみ群解析では見落とされていた非摂動効果の影響で絶縁体相が強く制限されることが明らかとなった。発表ではまず初めに、量子散逸系の基本的な知識を説明したのち、数値的くりこみ群、及び解析的くりこみ群を用いたジョセフソン接合系の解析について説明する。そして、それらの解析結果がいわゆる dangerously irrelevant term による非摂動効果という観点から統一的に解釈できることを説明する。

 2024

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